快楽
下品な話だが、ただの一般人と思しき男女がセックスを生放送で配信しているのを観た事がある。
恐らく2人はコスプレイヤーか何かで、やや軽い動機でセックスにまで至ったのだろう。正直、ネットで叩かれやすいジャンルの類いだと思う。私もこういった事は馬鹿にしてきたタチだ。
しかし、2人の様子を観て、次第に考えが変わってきた。
男は髪を赤く染め、マスクで顔半分を隠している。
女は目線や口元を工夫し、可愛い顔を崩さないよう努めている。
2人とも、セックスという当事者のみで行われる愉しみの中でなお、カメラに映る自分達を意識し続けているのだ。
なんとも説明がしづらいが、
そこには「馬鹿」の一言で一蹴するには勿体無いような、少年少女のイノセンスが感じられた。2人は、セックスと、不特定多数の他者へ表現することを同時に行っている。そこには、肉体的な快楽と精神的な快楽を同時に得ようとする意思が感じられる。ただ快楽を追求することを、世の中はとかく蔑みたがるものだが、2人はそんなことはおかまいなしに自分達の行動を楽しんでいる。私は事細かに感情を表現するのが苦手で伝えにくいのだが、簡単に言えば羨ましかった。世間の目など考えもせず、快楽を楽しむ無邪気な2人が、たまらなく羨ましい。そういうものに惹かれてしまう。
快楽。
いつからかそれが自分の行動の大きな指針となっている。自分が何に快楽、あるいは楽な気持ちを感じるのか、それは時と共に変わっていくだろうが、自分の快楽のとらえ方だけは失わずにいたい。