日記

29歳の日常です。

読書

蒼穹の昴』を興奮と涙を経て読み終え、煙草を一本吸う。

煙草の火種をキッチンのシンクに翳し、シンクに落とした灰ごと水道水で消しながした後で、酒と煙草で重い体を引き摺るように洗面所へ向かった。

 

力の抜けた、しかし目だけは読書の為に爛々と開いている顔を鏡に映す。頭髪は目の下まで伸び、頬から顎と鼻の下にかけて伸びっ放しになった髭面を眺め、浮浪者を小綺麗にしたようだと感じた。

 

自強などとは程遠い、姿からさえ分かる今の自分の情けなさを、このままにしてはおけないと日々思っている。せめて、やさしさを通せる強さを備えなければならない。

 

自分がいかに堕落しようと、それを叱ってくれる人はあまりいない。まして尻を叩いて正しい道へ追い立ててくれる人など、出会う事さえ奇跡のようだ。ゆめゆめ軽んじてはならない。

 

良い物を読むと、たいていこのような気分になる。